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ポメラでちまちま打ってて、最後の仕上げはパソコンでしようと思ってたんですけどね。なんか接続がうまくいかなくて。あれこれしてるうちに、なんかポメラの電源が入らなくなりましてね。
うそだろ、まさかこれ壊れたとかいう!?まさかね!なんか色々小ネタ入ってるんですけど!??
と葛藤してるうちに、説明書とかいっぱいみてなんとかかんとか復活しました!良かった!
そんなすったもんだの末できあがりました~!
途中で「これ、つまんないんじゃないか?つーかブログにあげてどうなるんだ」とかいう心の声が聞こえた気がしたけど総無視です。書き上げることが大事なんだ!
そんな感じで、もし読んでいただけるなら続きからどうぞ!
ようやく決心がついたのは、既に日が傾き、空が赤く染まる夕暮れ時であった。
別に、ぜんぜんたいしたことじゃない。そして特別なことでもない。
リナはうんうん、と頷きながら自分にそう言い聞かせた。
シクにだってあげたし。ありがとうって喜んでくれて、でも、それだけだ。チョコをあげたからって、あたしがシクのことを好き、とは誰も思わないだろう。や、シクのことは好きだけど。恋愛としての好きって意味じゃなくて、仲間として好きなのだ。姉のアーシスにもあげたし、イルクにもあげた。だから、ジャンクにあげるのも、もちろん普通だ。だって、一応仲間なんだし。
普通だ普通だ、とぶつぶつ呟きながらリナは宿屋の自分の部屋、丸テーブル上のチョコを睨みつけるように見つめた。四角い白の箱を、真っ赤なリボンが可愛らしく飾っている。4個のうちの残り1個。まだ渡していないジャンクへのチョコ。
もう一度、自分に言い聞かせる。
別に、これはたいしたことじゃない。ただの恒例行事。ジャンクになんてただの義理チョコ!
「よし!!」
朝からほったらかしにしてたそのチョコレートをようやく手に取り、ジャンクを探しに外へと飛び出した。
「で、結局渡せなかったのか」
「そうみたいなのよね」
しょうがないなあ、と苦笑するイルクに、アーシスもしょうがない子よねえ、と苦笑で応える。妹の意地っ張りはなかなか直らないようだ。
2月14日、バレンタイン。リナは最後までジャンクにチョコレートを渡すことができなかったらしい。
何度かチャンスはあったものの、いざとなると恥ずかしいのか何なのか。ジャンクを見かければ声を掛けるどころか脱兎の勢いで走り去るのだ。そんなことを繰り返してるうちに、日にちが明けてしまったとか。
「だからあんなに落ち込んでたんだな」
「本人はそんなんじゃない!て否定してるけどね」
朝、リナはベッドに突っ伏したまんま起き上がろうとしなかった。アーシスが下の食堂に朝食を食べに行こうと誘っても、いらない、と枕に顔を押し付けくぐもった声が返ってきただけだ。
あからさまにしょんぼりしているのに、ジャンクは関係ないと言い張るリナは、我が妹ながら相当な頑固者である。いい加減認めてもいいのにねえ、とアーシスは思うのだが、こればかりは仕方ない。周りがとやかく言ったところで、余計にこじらせるだけだろう。
「けっこう一生懸命チョコ選んでたもんな、リナ。やっぱり渡したかったんだろうけど・・・」
イルクが少し心配そうにため息をついた。一緒にチョコレートを買いに行ったイルクは、リナがあれこれとチョコレートを見比べて、長いこと迷っていたのを知っているのだ。だから余計に目的を達成できなかったリナが気になるのだろう。そういうアーシスも、リナが頑張っていたのを知っている。姉としては、応援していたのだが。
二人がなんとなく黙り込んでしまうと、まあ大丈夫だろ、とシクが二人を元気づけるように笑った。
「ジャンクがどうにかするって。アイツ、意外と気が回るとこあるし」
いつの間に寝てしまってたのか、リナはガバっと身を起こした。体にかけられていた毛布が落ちる。ベッドに突っ伏したままっだったから、アーシスかイルクのどちらかがかけてくれたのだろう。明るい外を見て、あぁ~、と小さくため息をついた。
外にジャンクを探しに出たものの、いざ本人をみかけると、声をかけるどころかつい物陰に隠れてしまった。じゃあ宿屋で待ってればいい、と思ったが、なんかわざわざ待ち伏せして渡すのって変じゃない?と意識してしまい、帰りづらくなった。
さんざん町をうろうろして、夜になって、今帰ったらどうすればいいの部屋まで行く?でももう寝てるかもだし。チョコ渡すために起こす?そんなのありえない!と葛藤してるうちにますます帰れなくなった。
結局、宿屋に帰ったのは朝方。そのままベッドに突っ伏してしまったのだ。
部屋にアーシスとイルクの姿は見えないから、どこかへ出かけたのだろう。時計をみれば午前11時前。とっくに食堂の朝食の時間も過ぎている。今降りても何もないだろう。
もうなんだが泣きたい。
八つ当たりのように時計をぼす、と毛布に投げ捨てた。
あんなにそわそわしたバレンタインは初めてだったが、あっという間に終わってしまった。一日落ち着かないし、夕飯も朝食も食べ損ねるし、散々だ。
「あ~~~~もうっ!!!」
イライラと大きな声を出して、乱暴にベッドから飛び降る。深く考えると、情けないやら悔しいやらで泣いてしまいそうだ。
頭をぶんぶんと振って、何も考えないようにしながら、とりあえず何か食べよう、と思う。お腹が空きすぎて昼までもたない。下の食堂は閉まっているだろうが、外のお店はどこか空いてるだろう。
頭の中はご飯のことだけにして、バンっと部屋の扉を開けた。
「おい」
「きゃあ!!」
今一番聞きたくない声。思わず悲鳴を上げてしまってから、おそるおそる振り返った。
そこにいたのは、やっぱりジャンクだった。いつも以上に不機嫌な顔で腕組みしながら立っている。
「な、なんでここにいるの!?」
「お前が昨日オレんとこに来なかったからだろうが」
上ずった声で問いかければ、むすっとした声で返答。
「オレに用があったんだろうが。なのにちょっと目があったと思えばすぐ逃げやがって。しばらくしたらまた来るし。のに、また逃げる」
「だ、だって!!」
自分の挙動不審が完全にバレていたようで、恥ずかしさにかあっと顔に血が上ったのがわかった。いや、ばれてるとは思ったけど!でも直接非難されるとより居た堪れないっていうか!
「宿屋で待っとけばいいかと思ってれば、帰ってこねえし。どこ行ってたんだ?つうか一人でふらふらしてたら危ねえだろうが!」
アーシスは怒んなかったのか、とぶつぶつ言ってるジャンクに、たっぷり怒られました、と心の中で呟く。イルクからもすごく心配された。でも、そんなのも気にならないくらい、自分は落ち込んでいたのだ。
「ほら」
何やら色々言っていたジャンクが、ずいっとリナに手を差し出してきた。わけがわからず、「へ?」と間抜けな声が出る。
「だから、渡すもんがあるんだろ?オレに」
渡すもの。そうだ、チョコレートを渡そうと昨日四苦八苦したのだ。でも、日付は変わってしまってる。
顔を歪めたリナをどう思ったのか、ジャンクは小さくため息をつく。
「別にどうでもいいだろ、日にちなんて」
「どうでもいいって何よ!」
こっちはバレンタインってことで必死だったのに!なんもわかってない、とリナは悲しくなった。
日にちがどうでもいいのであれば、バレンタインという意味がないのであれば、別にチョコを渡すくらいであんなに悩むこともなっかったのだ。
「あーー、そうじゃなくて、だから!」
がしがしと乱暴に髪をかき混ぜて、あのな、と少し真剣な顔でジャンクはリナを見つめた。
「お前がオレに、昨日チョコをあげようって頑張ってくれたことが大事だろうが。今日は14日じゃねーけど、オレはそれだけでいいと思ってる」
そう、本当は14日に渡したかった。だって特別な日なのだ。だから、その特別な日に渡せなかったことがすごくショックだったのだ。でも。
ジャンクは、な?と念押しをするように首を傾けた。それに、こっくりと頷いてみる。
本当に渡したかったのはチョコじゃない。特別な日を大切にしたいという想いだ。それを目の前の男が知ってるのならば、もうそれだけでいい気がした。
ずっと渡せなかったチョコレートを手渡せば、さんきゅ、とジャンクが笑った。いつもよりも、少し柔らかい笑みを見て、今度は先ほどと違う意味で顔が熱い。
「別に頑張ってなんかないけどね!だいたい、ジャンクのはおまけだしっ!」
赤くなった頬をごまかそうと、咄嗟に捻くれた言葉が出る。言ってしまってから、そうだった、と思い返した。
ジャンクのチョコは義理だ。買うときだって、義理だ義理だと言いながら買ったんだから。全然、特別じゃない。シクや姉たちにあげたチョコと同じだ。
「…ダダ漏れだぞ、心の声」
そうかよ、義理ね。ちょっと疲れたように呟いて、まあいいか、と少し笑った。
ジャンクはまだ見逃してくれるみたいだから、あたしもしばらくは自分の心の奥を見ないことにしよう。
だからリナは、義理なのにあげたんだから感謝してよね!といつものように喧嘩ごしに言い放つのだった。
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